【漫画】スローループ 4話 感想 恋ちゃんの後悔と友達の資格

漫画

第4話 笑顔になれたら

太陽の下で楽しそうなひよりちゃん小春ちゃんと日傘の下で傍らを眺めている恋ちゃんに今回のストーリーが示唆されています.冒頭で,恋ちゃんの日傘は日焼け対策と言っていますが,その割にはショートパンツを履いており,女子高生の日焼けはしたくないけれどもおしゃれはしたいという二律背反な気持ちを恋ちゃんも持っているようです.

ただ,スローループでは基本的に釣りに行く格好をしていることが多いため,こういった露出が多い格好は貴重です.恋ちゃんのふとももを見て,眼福にあずかりましょう.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

管理釣り場へと同行したものの釣り自体はしない恋ちゃんでしたが,それでも一緒に来られてうれしいというまっすぐで素直な気持ちを述べるのがひよりちゃんです.いい笑顔ですね.

ひよりちゃんが(作品内では相変わらずの)天然ジゴロっぷりを見せてきますので,恋ちゃんもびっくりしています.正確には,びっくりというよりは過去のひよりちゃんの沈みっぷりからの変化に戸惑っている部分もあるのでしょうね.

ひよりちゃんが素直に笑えるように導いた功労者である小春ちゃんにはこのやり取りは理解できていないようです.釣りをしない恋ちゃんがなんでここに来たことがあるの?という表現でしょうが,読者もひよ恋の間にどんな過去があったのかをこの時点では知らないので,その導入役としての仕事も小春ちゃんには与えられていますね.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

小春ちゃんに色々と釣りのやり方を教えているひよりちゃんを見て,恋ちゃんはひよりちゃんの成長を感じます.このように,恋ちゃんはお姉さん的な視点から,ひよりちゃんを見ていることが示されます.こういった役割をちっこいキャラにさせることで嫌味に見せない手法はいわゆるロリババア的なキャラクターでよく使われますが,恋ちゃんもそれに倣ってちっこくかわいくデザインされていますね.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

ひよりちゃんが小春ちゃんの面倒を見ている理由の一端が明かされます.自分の趣味に興味を持ってくれる初心者には頑張って教えたくなるよねという話で,そりゃそーだという内容のセリフではありますが,恋ちゃんにとって意味するところは非常に重いセリフになっています.

今回の小道具である日傘を使って,恋ちゃんがひよりちゃんに対して踏み込めない壁を感じていることが読み取れます.新参者である小春ちゃんのおかげでこれだけひよりちゃんの心持が激変したわけですから,幼馴染である恋ちゃんにとってはショッキングな出来事ですね.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

この結果,さらにテンションダウンしてしまった恋ちゃんですが,小春ちゃんがそれを見て釣りをしたかった・・・?と尋ねます.

それに応答する形で自分の気持ちを再確認する恋ちゃんですが,やっぱり釣り自体はしたくないという結論は変わらず,ひよりちゃんをどうすることもできなかったのだと自分の無力感を痛感しているようです.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

子供のころは恋ちゃんも釣りをしていたようです.ここの恋ちゃんの表情は今の落ち着いた雰囲気からは想像しづらいような悔しさが表れていてレアですね.今の恋ちゃんでもこんな表情を見てみたいところです.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)
画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

ひよりちゃんのお父さんが中学生の時に亡くなり(小学生の時に病気が発覚して余命宣告?),恋ちゃんはひよりちゃんにかける言葉が見つからず,ひよりちゃんにとってお父さんとの思い出の地である海には踏み込むことができませんでした.3話でひよりちゃんが小春ちゃんにに恋ちゃんを真っ先に紹介していたように,ひよりちゃんが恋ちゃんのことを大事に想っているのは間違いないのですが・・・.

このことからもひよりちゃんと恋ちゃんの二人は,中学生の間はつかず離れずの関係性を維持していたことがわかります.中学生という肉体的・精神的に変化の大きい時期を通じて関係性が維持できていれば,十分通じ合っている仲だと大人になればわかるのですが・・・.もどかしいところです.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

このひよりちゃんの精神的な壁を打破するきっかけを与えたのは言うまでもなく小春ちゃんです.恋ちゃんには自嘲的に小春ちゃんの性格を褒めます.自分にはできなかったことをしたのは疑いようがない事実なので,褒めてる部分があるのも間違いありません

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

恋ちゃんの後悔の念が重いです.あのとき行動していれば,という想いは誰しにもある気持ちでしょう.その行動をしなかった自分には,友達の資格がないと断言する恋ちゃんですが,これに関しては自分も考えすぎだと思いますね.

この中学生時代にひよりちゃんが恋ちゃんのことをどう思っていたかは後ほど語られますが,つかず離れずの関係を維持できただけで十分で,ひよりちゃんを孤立から食い止めていた最後の砦が恋ちゃんだったのだと思います.でなければ,ひよりちゃんが恋ちゃんを真っ先に紹介するはずがありませんものね.ただ,こういった責任感の強さが恋ちゃんの魅力を形成しているのも確かです.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

そんな恋ちゃんに小春ちゃんのアドバイスが刺さります.ある意味,恋ちゃんは以前のひよりちゃんと同じなんですね.過去の出来事にこだわり,現在の目の前にいる人が見えていない.そういった意味合いでは似たもの同士な二人でもあります.今のひよりちゃんが恋ちゃんの前で笑っている事実からも,恋ちゃんのこれまでの行動は間違っていなかったことがわかるはずなのに,なかなかそれに気づけない恋ちゃんに,当然の事実を叩きつける小春ちゃん.いい役回りをしています.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

先の小春ちゃんの言葉を受けて,恋ちゃんは日傘を下ろします.恋ちゃんの心にあった壁も小春ちゃんが取り去ってくれました.小春ちゃんのキャラクターは難解でどこまでを意図しているかわかりづらいです.少なくとも小春ちゃんは,恋ちゃんが沈んでいるのを見て隣に寄り添おうとしたのだろうと思います.そういった小春ちゃんの気配り,積極性が恋ちゃんを助けることに繋がったのでしょう.

ひよりちゃんも恋ちゃんも共通して,小春ちゃんのことを変わった子だと評していますが,言葉通りの意味合いというよりは,「何かを変えるきっかけを与える力を持っている」という意味合いで変わった子だと形容しているように見えますね.確かに小春ちゃんはぐいぐい来る変わった子ではあるのですけれど.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

地味に釣り人あるあるなシーンです.魚が釣れずに暇なときは,初心者の面倒をみながら自分の釣りもこなせるのですが,時合い(魚が釣れやすいタイミング)が来ると自分の釣りに集中してしまい,初心者をほったらかしてしまいがちです.

時合いに限って,初心者が仕掛けをダメにして釣り不可能となることもあり,「とりあえず見てて!自分が釣るから!」となることも・・・.性格が悪いと思われるかもしれませんが,それくらい釣れる時間帯というのは短いので,その時間に全力投球したいのですね.

小春ちゃんはボウズということで残念そうですが,恋ちゃんに時間を使っていたので仕方がないですね.恋ちゃんという大物が釣れていますので一番の釣果(成果)を挙げているんですけどね.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

ここの恋ちゃん,めちゃくちゃかわいいです.小春ちゃんの前で日傘を下ろしたシーンのあたりから,恋ちゃんの頬が染まっている(スラッシュ表現が入る)のですが,胸のつっかえが取れて元気になったようです.表情がそれまでよりも生き生きとしていますよね.

恋ちゃんが釣りに付き合ってくれると表明してくれています.これが恋ちゃんなりの踏み込みですね.あの頃にはできなかったけれど,これからはもう少し踏み込んでいくという決意表明に近いのかなと思っています.

そもそも,この管理釣り場への釣行も恋ちゃんの発案でしたね.そういった意味ではすでに十分踏み込んでいるのですが,おそらく今回の釣行はひよりちゃんと小春ちゃんの関係構築を応援するのが恋ちゃんの意図だったのかなと思います.それが,ひよりちゃんに抱いていた複雑な想い(友達の資格がない)が解消されたことで,また一緒に遊びたい,釣りに行きたいと素直に思ったのでしょう.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

今回のブラック小春ちゃんです.うつろな瞳がいいですね.アニメではセリフのみだったのが残念です.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

帰りながら,恋ちゃんのお父さんが実は心配していたことを述べます.恋ちゃんはお父さんの発言に驚きますが,亡くなった親友(ひよりちゃんのお父さん)が残した家庭のことですから,気になって当然ですよね.今後もギャグ要因として活躍する恋ちゃんのお父さんですが,親友が見られなかった現在の状況をしっかりと見てくれていますので,いつか重要な役割が与えられる気がしますね.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)
画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

はい恋ちゃんかわいい.表情がお姉ちゃんを超えて母親のそれに近いレベルに来てます.さすが恋ちゃん.

シートベルトをしていないというのは細かいツッコミですよね.すみません.

恋ちゃん自身が,小春ちゃんに感謝していることや,ひよりちゃんが前向きに日々を過ごせていることが確認でき,三人の絆も構築され始めたので「心配いらない」というのは嘘偽りのない気持ちでしょうね.

スローループではひよりちゃん,小春ちゃん,恋ちゃんの三人を主軸に話が展開していきますが,今回の恋ちゃんのお父さんのように,サブキャラの存在も輝いています.初めて読んだ当時,親が出てくるきらら系というのは結構珍しいなと思いましたね.母親自体が萌えキャラであれば理解できるのですが,普通に男親が出てくるのだと驚きました.

この作品は「家族もの」だと気づけばどうということはないのですが,「日常系」に見えますからね.今後もサブキャラ(メイン3人の家族+α)は活躍しますし,ストーリー上重要になってきますのでご注目ください.

画像の引用元:うちのまいこ, スローループ, 1巻(芳文社)

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